【考察】シャンクスの剣「グリフォン」の正体が悪魔の実を食べた刀ではない3つの理由

2019年6月18日

四皇・赤髪のシャンクスといえばONE PIECE世界きっての大物海賊、実力者です。
シャンクスの戦闘描写はまだまだ少ないですが(2019年現在)、主だった攻撃手段としては剣によるものが多いようです。
過去には王下七武海・鷹の目のミホークと幾度とない決闘を繰り広げていたことからも、シャンクスの剣士としての実力の高さが窺い知れますね。

シャンクスとミホークの決闘について語る白ひげ
出典:ワンピース コミック 第45巻より

そんなシャンクスが愛用している剣である「グリフォン」 ですが、その名の通りであればヨーロッパの伝説に登場する怪物が由来となります。
ワンピースで武器×怪物(生物)と言えば「”物”に悪魔の実を食べさせる」という技術が思い浮かびませんか…!?
ネット上では、「グリフォンが動物系の悪魔の実(幻獣種)を食べた剣である!」なんて噂が囁かれています。

しかし、筆者はそんな「グリフォン=悪魔の実を食べた刀」説を、3つの側面から真っ向否定したいと考えています!
というわけで、今回はシャンクスの剣にまつわる考察と、剣士としてのシャンクスの実力に迫まっていきましょう!

シャンクスの剣の名前になっている「グリフォン」とは?

「グリフォン」とは「グリフィン」や「グリュプス」とも呼ばれる空想上の怪物です。
鷲の上半身と翼、ライオン(獅子)の下半身を持つ生物として、主に西洋の伝説やRPGゲームなどに登場します。
日本ではハリー・ポッターに登場する「グリフィンドール」がグリフォンをモチーフにした学生寮として有名ですよね。

グリフォンの絵

グリフォンとよく混同されがちな生物として、「ヒッポグリフ」という怪物もいます。
ヒッポグリフも頭部が鷲なのはグリフォンと同様ですが、下半身が馬になっていることが大きな違いです。

ヒッポグリフの絵

シャンクスとグリフォンのイメージはぴったり?

グリフォンを象った紋章

グリフォンは百獣の王であるライオンと、大空の覇者である鷲の特徴を併せ持った威厳のある生物です。
また、紋章学におけるグリフォンは「黄金」や「知識」を象るとされ、王家や貴族の家紋などに広く用いられてきた歴史があります。
海賊としてお宝(黄金)を追い求め、海賊王の元クルーとして世界の知識を持ち、そして四皇として新世界に君臨するというシャンクスにはぴったりの意匠だと思います!

シャンクスの剣は悪魔の実を食べた武器ではない3つの理由

さて、ネット上でもしばし見かける「シャンクスの剣はグリフォンの実を食べた武器なのではないか」という説について…。
冒頭でも述べた通り、筆者は「グリフォン」は悪魔の実を食べていないのでは?と考えています。
その理由としては下記の3点があります。

■シャンクスの剣が幻獣種「グリフォン」でない理由(筆者の考察)

  1. ネーミングルールによって「グリフォン」にはならない
  2. トリトリの実の定員5名をオーバーしてしまう可能性がある
  3. グリフォンはワンピース世界に実在する生物である

これら3点を以下で詳しく解説していきます。

①ネーミングルールによって「グリフォン」にはならない

そもそも、今まで登場した「悪魔の実を食べた武器」の名前と能力を一覧にまとめると以下の通りです。

■悪魔の実を食べた武器一覧

  • ラッスー … イヌイヌの実 モデル”ダックスフント”を食べた銃
  • ファンクフリード … ゾウゾウの実を食べた剣
  • スマイリー … サラサラの実 モデル”アホロートル”を食べた有毒ガス

ご覧の通り、これら能力者(物)には「固有の名前」があります。
つまり、「ダックスフント」の実を食べたからといって、名前が「ダックスフント」になったりしないということですね。

イヌイヌの実を食べた銃犬ラッスー
出典:ワンピース コミック 第20巻より

このネーミングルールに従えば、グリフォンの能力を持っていても、シャンクスの剣には別の名前が付いているはずです。
なので、逆説的にグリフォンはグリフォンの能力を持った剣ではない、ということになります。

②トリトリの実の定員5名をオーバーしてしまう可能性がある

前提として、グリフォンは鷲とライオンの合成獣のため、「トリトリの実」か「シシシシ(獅子)の実」の幻獣種とカテゴライズされると思われます。
どちらを取るかによりますが、筆者はもしグリフォンの能力が登場するのであれば、翼があることから「トリトリ」に分類される可能性が大きいと思っています。

尾田先生なら覚えているはずですが、アラバスタにてペルの「トリトリの実 モデル”隼(ファルコン)”」が初登場したときに、「世界に5種しか確認されぬ『飛行能力』」と紹介していましたよね。

トリトリの実について話すペル
出典:ワンピース コミック 第19巻より

この「5種のみ」とされるトリトリの実の定員が近いことが、グリフォンの能力が登場しないと考える理由です。
以下に、既に登場済みのトリトリの能力者をまとめていきます。

■シャンクスの剣が幻獣種「グリフォン」でない理由(筆者の考察)

  • ペル … トリトリの実 モデル”隼(ファルコン)”
  • マルコ … トリトリの実 幻獣種 モデル”不死鳥(フェニックス)”
  • バズ … トリトリの実 モデル”鷹(イーグル)”
  • トラツグ … トリトリの実 幻獣種 モデル”鵺(ヌエ)”

原作に登場したのは前述した隼のペル、そして不死鳥のマルコです。
バズは劇場版「ONE PIECE 3D 麦わらチェイス」に登場する悪魔の実を食べた犬で、トラツグは京都で開催された「ONE PIECE ART NUE 大覚寺「魔獣と姫と誓いの花」展」に登場する「鵺」という怪物に変身できる人物です。

原作とスピンオフが入り混じってしまうところが微妙ですが、尾田先生が厳密に監修しているとして、既に4種のトリトリの能力が登場済みとなる計算なのです。

そして、黒ひげ海賊団のラフィットや、革命軍幹部のカラスなども「トリトリの能力者では?」と噂されているあたり、5人の能力者は他でカウントされてしまう可能性が高いと見ています。
既出、そして今後の登場する確率などを考えると、トリトリの実の幻獣種になるであろう「グリフォン」の能力がシャンクスの剣に宿ることは無いのでは…と推定します。

③グリフォンはワンピース世界に実在する生物である

ラスト3つめの理由としてあげるのが、グリフォンという生物がワンピースの世界では実在している、という点についてです。
グリフォンが実在するという点に関しては、ビッグマムの珍獣コレクションの中に「南の海(サウスブルー)のグリフォン」が居ることから明らかです。

ビッグマムが南の海で見つけたグリフォンを紹介するシーン
出典:ワンピース コミック 第84巻より

しかし、大多数の方が「なぜグリフォンが実在していることがシャンクスの剣に関係あるの?」と思われますよね。
少し複雑な話になりますが…頑張って説明していきます。

まず、ワンピースの世界には「実在する幻獣」というものが設定上存在すると筆者は考えます。
「実在する幻獣」というのは非常に矛盾する表現ですが、ようは「現実世界では空想上の存在だけれどワンピース世界では少し珍しいぐらいの生物」という意味合いです。
例をあげるのであれば、クラーケンなどが上記に当てはまりますね。
漫画の話ですし、現実世界の伝説や寓話などを元に、そこに登場する怪物や生物が度々登場するのがワンピースの世界観です。

ただ、ワンピースの世界においても「実在しない幻獣」、つまり「空想上の生物」というものはいる(ハズ)です。
これも例を挙げるのであれば、パンクハザードに登場したドラゴン(ドラゴン十三號)が適切でしょうか。
ドラゴン十三號と遭遇した麦わらの一味は「ドラゴンは実在しない」という常識を持って、その存在を疑っています。

ドラゴン十三號の存在に驚く麦わらの一味
出典:ワンピース コミック 第66巻より

グリフォンという生物が実在する以上、ワンピース世界におけるグリフォンは「実在する幻獣」扱いで、「ワンピース世界の珍しい生物」にカテゴライズされます。
そして、先ほどのドラゴン等はワンピース世界においても「幻獣」のまま…。
現実世界で幻獣であるグリフォンはワンピース世界では珍獣なので、もはや動物系”幻獣種”に設定することは難しいですよね。
現実世界で幻獣かつ、ワンピース世界でも幻獣であるドラゴン(竜)は”幻獣種”として取り扱えます。

まとめると、グリフォンはワンピース世界では珍獣扱いになった生物であり、今後に”幻獣種”として登場することは無いから、といったところでしょうか。

様々書いてきましたが、以上3つの理由から、グリフォンが悪魔の実を食べた剣ではないと思われます。

シャンクスの剣士としての実力を考察

冒頭でも書いたとおり、シャンクスは「世界最強の剣士」であるジュラキュール・ミホークと同等の強さを誇ります。
剣を用いない純粋な戦闘力はまだ未知数ですが、剣士として対峙したであろうミホークと決着がつかないということは、シャンクスは剣士として世界最強レベルにあるということになります。

上記の逸話の他に、シャンクスの剣士としての実力が垣間見れるシーンが以下の2つあります。
まずは黒ひげを追うエースを止めるように白ひげに忠告しにやってきた後、交渉が決裂して白ひげと斬り合った際のこのシーン。

白ひげと斬り結ぶシャンクス
出典:ワンピース コミック 第45巻より

真っ向から「世界最強の男」である白ひげと打ち合うシャンクス。
この後で二人の剣から放たれた衝撃で、雲(天)が割れるほどの威力があります。

そして2つ目は頂上戦争の終盤、戦争を止めようとするコビーを静粛しにかかる赤犬を止めたこのシーンです。

赤犬からコビーをかばうシャンクス
出典:ワンピース コミック 第59巻より

マグマグの能力を解放し、おそらく驚異的な威力を持ったサカズキの一撃をいとも容易く剣で受けきるシャンクス。
これらの場面から、やはりシャンクスの剣士としての実力は一級品であると見て取れるでしょう。

まとめと余談:シャンクスは右利きなのに剣が抜ける?

以上、シャンクスの剣「グリフォン」と、剣士としての実力についてまとめてきました。
現時点ではグリフォンはただの剣(もちろん名剣である可能性はありますが…)であるという結論に至りましたが、シャンクス自身の剣士としての高い実力は本物のようですね。

余談として、「シャンクスが剣を右差しなのに右腕で抜いているのはヘンなのでは?」というお話もありまして、そちらにも触れます。
白ひげと斬り合う寸前の以下のシーンをご覧ください。

グリフォンを抜くシャンクス
出典:ワンピース コミック 第45巻より

刀や殺陣(たて)に詳しい人なら一目瞭然なのですが、通常なら剣士は利き腕の反対側に帯刀し、抜刀をするものです。
そうしないと腕の長さの都合によって、刀が抜けないからですね(実際に試してみるとわかります)。

時代劇などにおける抜刀シーン

シャンクスはルフィを助けるために左腕を失っており、右腕のみで剣を振るっていますから、本来であれば剣を「左差し」すべきです。
現実世界では先ほどのシーンのような剣の抜き方はできないはずですが…シャンクスの場合は直後にしっかり抜刀して、白ひげと刀を交えているので問題ない(?)様子。

これが尾田先生のミスかと思いきや、よく見ると赤犬を止めた際も右側に鞘を差しているので、ちゃんと設定があるみたいです。
シャンクスのレベルになれば、どんな帯刀をしていても抜刀に問題はない!ということでしょう(笑)